2006/01/03

植田正治と岡本太郎




今日は2つの写真展を見てきました。どちらも恵比寿の東京都写真美術館で開催されているものです。1つめは「植田正治:写真の作法」展。東京都写真美術館10周年の企画展で、写真家植田正治さんの回顧展です。植田正治さんは鳥取砂丘で撮られた一連の作品群が有名なので、前から気になっておりました。戦前からの作品から晩年のカラーの作品まで、総じて初めて作品を見れましていや良かったです。写真をドキュメントとしてではなく、人もモノもオブジェクトとして扱う一連の作品はとてもシュール。通して見ていくと、彼のスタイルが形成されていく様が見てとれて、とても面白かったですね。彼は写真の方程式を崩して、独自に構築してるのではなかろうか。日本よりも外国から先に認められたという話もなんかわかる気がします。それは新しいものに対する当時の日本人の間口の狭さを感じるからです。うーん、これもまた写真なりです。

2つめは「写真展 岡本太郎の視線」です。こちらはまた対照的でした。岡本太郎さんといえば、みなさん画家を思い浮かべるでしょうが、いえいえ彼は写真家の一面もあったのです。とくに50年代から60年代にかけて彼は日本中を旅して回り、日本の伝統文化を見極め、こねくり回し、あらたな伝統芸術の問題を叩き付け、そして作り上げるべく写真を撮りまくっていたのです。太郎さんの撮影方法は、まさに絵を描かれるがごとく被写体に食いつかんばかりに感じます。今回の写真展の中で太郎さんの印象的な言葉がいくつかありました。中でも印象に残ったのが、「写真というのは偶然を偶然に捉えて必然化することだ」という言葉です。この一言に太郎さんの写真に対する姿勢が全て込められているような気がしました。太郎さんは写真という枠を超え、己の見て感じたものをただ紙に焼き付け表現しようとしたのではないかと思います。むーん、これもまた写真なりです。
どちらもお奨めの写真展です。見に行くべしっ。