2006/06/04

背水の陣



赤瀬川源平さんの「背水の陣」という本を読みました。これは、著者が環境問題をテーマに語ったエッセイ集なのですが、そこはもう彼の事ですので、堅苦しさの無いユーモアあふれるモノとなっております。でもテーマがテーマなだけに、珍しく危機感を相当に感じながら書いているなと思いました。著者が冒頭の前書きで述べていた「未来は無限に開かれているわけではない...そう自覚するほかない今日、その場限りの物品と付き合って楽しいだろうか」という言葉に共感します。世の中が便利になっているという錯覚を我々みんなが自覚しない限り、環境問題どころではないと思います。我々は有限である閉じた世界に住んでおり、人間が住んでいられる環境は、常に己が意識して築かない限り、自然は厳しくそして容赦なく人間を打ちのめすでしょう...。正に背水の陣、必死の覚悟を持って挑まなければならない。そんな事を、極めて普通の人に近い著者が、優しくそして少し厳しく語っている本なのです。日経BP社。1,500円。