植草甚一日記
植草甚一スクラップブックの39「植草甚一日記」を読み終えました。この本は、前半は1945年1月から8月15日まで、後半は1970年1月から12月31日までの植草甚一さんの日記がのっております。今で言うところのblogのはしりでしょうか(いやちょっと違うかな...)。1945年は植草さんが30半ばを超えた頃(ちょうど今の僕ぐらいだ)、1970年は60を超えた頃とその間は四半世紀も間があるのですが、坦々とした本人のキャラは、みじんも変化していない事がよくわかります。1945年と言えばね終戦の年。その頃植草さんは、東宝の劇場で働いておられたのですが、毎日のごとく東京にB29が焼夷弾の雨を降らせ、気が狂わんばかりの状況なのです。ですが彼はその事さえも、普通の出来事として、爆撃機が何機飛んできたかなどを記録しています。また3月頃までは、彼のいた劇場では洋画が上映されており、結構お客さんも入っていたりするのだから驚きます。坦々としながらも、なんとか映画という娯楽文化を守ろうとしている姿勢が日記から垣間見えて感心しました。それにこの頃も変わらず本ばかり読んでいたようで、1970年の日記も、ほぼ毎日、何冊か(時には何十冊かの)古本や洋書本を買っているのに、またまた驚かされます。この独特のライフペースを、彼は決して力を入れずに貫き通していらっしゃるのに、ほとほと感心します。興味ある人の日記は本当に面白い。そしてその生き方に、ちょっと憧れますね...。
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